フィルム時代のコンパクトカメラの魅力的なレンズをミラーレス一眼用の交換レンズとして蘇らせたリマスター。マウント面からの厚みが19.5mmというパンケーキレンズ並みの薄い鏡胴に繰出し量が5mmほどのAF・MFのフォーカシング機構があり、そこに21mmF3.5、28mmF3.5、32mmF2.8の3種類のレンズを取り付けます。薄く小さな機構の中でも個々のレンズの着脱がしやすいように工夫されており、フォーカス部分の前縁には49mmのフィルターネジがあります。写真下左のような防水タイプのハードなケースが付属していますが、写真下右のように樹脂製のレンズケースをセロハンテープで一体化すれば、ほとんど荷物になることなく携行することができます。現在はソニーのEマウントのみですが、ボディ側のレンズ補正をオンにすることで周辺光量の低下やディストーションが補正され、整った画像が得られます。
21mmの画角があれば風景をたっぷりと写し込むことができます。水面で太陽が反射していますが画像に影響は出ていません。ISO400、F16、1/160秒。
夜景をISO400、F3.5開放、1/10秒で手持ちで撮影したものです。カメラ側のレンズ補正をオンにしたことでディストーションもきれいに補正されます。
横浜、山下公園の氷川丸の機関室です。ISO800で手持ちで1/5秒が切れることからF8に絞っていますが、F4でも周辺までほぼ変わらないシャープさです。引きのないところでは、21mmの画角は重宝します。
馬場ロア大阪撮影会における撮影で、CAPAのコラムに掲載した写真です。21mmの超広角で人物を撮影する場合は、顔が画面の周辺にいかないよう画面の上部を空けてフレーミングし、そこからトリミングしています。太陽からの光芒に加えゴーストも出ましたが写真としてはむしろ効果的です。ISO200、F13、1/160秒。モデル/かりな
街の明かりがつき始めた頃の山下公園で、近景にフォーカスを合わせたので遠景はわずかにぼけていますが、このボケが滲んでいます。絞り開放時の、この後方微〜小ボケの滲みが、このレンズの大きな魅力です。ISO400、F3.5開放、1/15秒。
後方小ボケもこれくらいになると滲みは消えますが、点光源が二線ボケになることはなく、ボケとしては柔らかいです。ISO200、F3.5開放、1/1600秒。
2024年秋の馬場ロア大阪撮影会における撮影で、逆光で光る髪の毛が滲んで味があり、ボケ描写が楽しめる素晴らしいレンズです。ISO400、F3.5、1/1250秒。モデル/かりな
準広角はフィルムコンパクトカメラとしては収まりのいい画角で、絞り込んだ風景は当然のことですが気持ちの良い写りです。ISO800、F11、1/320秒。
これもCAPAのコラムに掲載した写真です。ソニーのカメラはデジタルズームがとても有効なのでこれを2倍の64mm相当の画角にし、このレンズはボケ描写はあまり良くないのでマルミのDIFF(ディフュージョン)を装着しました。ISO200、F2.8開放、1/1000秒。モデル/かりな